5S活動は「始める」よりも「続ける」方が難しい――多くの現場がそう感じています。
最初は整理・整頓・清掃が進んでも、数ヶ月後には元通り。
「また乱れてきた」「やっているのは一部の人だけ」と悩む職場も少なくありません。

その原因は、決して人の意識の問題ではありません。
続ける仕組みが設計されていないことが、5Sが定着しない最大の理由です。

この記事では、5Sを一過性の活動で終わらせず、
現場が自ら動き続けるようになるための3つの仕組みを、実際の支援事例を交えて解説します。

5Sの基本的な考え方をまだ整理していない方は、
5Sとは何か?スタートしやすい初心者向け解説ガイド
もあわせてご覧ください。

5Sが続かない本当の理由

5S活動は、始めるときよりも続けるときの方がエネルギーを要します。
多くの現場で「最初はうまくいったが、数ヶ月後に元通りになった」という声を耳にします。
なぜ続かないのか――その原因を、意識ややる気だけで片づけてはいけません。
そこには、構造的な3つの課題が潜んでいます。

5Sが続かない理由の背景には、“整理・整頓・清掃”のルール運用に偏りがある場合もあります。
基本の3Sを見直す際は、
整理整頓から始めよう!2Sで製造現場を効率化
も参考になります。

① “やらされ感”が生まれる仕組みになっている

5Sが続かない現場の多くは、目的が共有されていないことが共通しています。
「なぜ5Sをやるのか」「誰のための活動なのか」が曖昧なままでは、
指示がなければ動かない“やらされ活動”になります。
人は、意義の見えない活動を自ら続けることはできません。
本来の目的を「現場を楽にする」「品質と安全を守る」と再定義し、
現場が納得できる目的に置き換えることが第一歩です。

② 成果が見えないまま進んでいる

「やっているのに何も変わらない」という状態が続くと、
現場のモチベーションは急速に下がります。
5Sの成果は数字では見えにくいため、**小さな変化を“見える化”**することが必要です。
棚の整理前後の写真、工具の戻り率、作業時間の短縮など、
目で見える成果を共有することで、「続ければ変わる」と実感できます。
成果が実感できれば、活動は“義務”から“自発”へと変わっていきます。

③ 続ける仕組みをリーダーが作れていない

5Sを進める現場では、「リーダーが声を掛けなくなった途端に止まる」ケースがよくあります。
これは、リーダーが“管理者”になっている証拠です。
本来の役割は、指示や点検ではなく、続ける仕組みを作る支援者です。
たとえば、週1回の確認日を決める、チェックボードを用意する、
5分間のミニ報告を習慣化する――こうした“回す仕組み”を整えることが重要です。

5Sが続かないのは、人の意識が低いからではありません。
仕組みが止まっているから、人も止まるのです。
次章では、5Sを定着させるために欠かせない3つの仕組みを具体的に解説します。

5Sを定着させる3つの仕組み

5Sを定着させるには、意識や気合いに頼るのではなく、自然に続く仕組みが必要です。
仕組みとは、人が動くための“道筋”を決めることです。
ここでは、現場が自ら動き続けるための3つの仕組みを紹介します。

5Sの仕組みを支える基礎として、
5Sの清潔とは?清掃との違いと“維持する仕組み”を現場目線で解説
をあわせて読むと、状態維持の考え方がより明確になります。

① 習慣化の仕組み ― 続けるリズムを作る

5Sが定着している現場では、活動を「特別なこと」にしていません。
清掃・点検・整頓が、日常のリズムとして組み込まれています。
たとえば、

  • 朝礼後の5分間を“全員清掃タイム”にする
  • 週1回の「リセット日」を設定する
  • 点検チェック表を作業工程に組み込む
    こうした小さな仕組みを繰り返すことで、“やるのが当たり前”という感覚が育ちます。

重要なのは、「時間を確保する」ことではなく、「続ける仕組みを決める」ことです。
習慣は意識ではなく、仕組みの繰り返しによって作られます。

② 見える化の仕組み ― 成果を共有する

人は「変化が見える」と続けたくなります。
5Sの活動が続かない理由の多くは、成果が目に見えないことにあります。
そこで、活動内容や成果を見える化する仕組みを整えましょう。

たとえば、

  • 整理整頓の「ビフォー・アフター写真」を掲示
  • 改善前後の時間・歩数・移動距離の変化をグラフ化
  • 「今月の改善チーム」「清掃優良エリア」などを紹介
    成果を数値や写真で共有すると、現場全体が前向きに動き出します。

5Sは、“変化を見せることで次の行動を引き出す”活動です。
見える化は、単なる情報公開ではなく、モチベーション設計の仕組みなのです。

③ 評価と承認の仕組み ― 継続を文化に変える

5Sの活動を「続ける」から「根づく」へ変えるためには、
続けたことを正しく評価し、承認する仕組みが欠かせません。
「よく頑張ったね」「助かったよ」といった小さな声かけも立派な承認です。

また、改善提案制度や5S表彰を組み合わせると、より継続効果が高まります。
重要なのは、結果ではなく行動を評価することです。
完璧な成果を求めるよりも、「続けていること」そのものを認める文化を作ることが、
定着の最大のエネルギーになります。

習慣化で“仕組み”を作り、
見える化で“やる気”を支え、
承認で“文化”に変える。

この3つが揃ったとき、5Sは一過性の活動から“現場の仕組み”へと進化します。

定着を促すリーダーの役割

5Sを定着させるうえで欠かせないのが、リーダーの存在です。
ただし、ここで言うリーダーとは「指示する人」ではなく、**現場を動かす“促進役”**です。
管理よりも支援、叱るよりも仕掛ける――これが定着を生むリーダーの基本姿勢です。

5S活動のコツ!躾を成長に変える仕組み(アイデア)作り
も参考にしてください。

管理ではなく“促進”する

5Sが続かない職場では、リーダーが「やらせる側」になってしまっていることが多くあります。
しかし、人は指示だけでは動きません。
リーダーの仕事は、メンバーが動きやすい環境を整えることです。
たとえば、作業前の5分間に全員で一箇所を清掃する仕組みを作る、
日替わりで担当を変える、掲示板に進捗を貼る――
こうした**“動きやすさ”をデザインするのが促進の仕事**です。

小さな成功を見つけ、共有する

人は、できたことを認められると次もやろうと思います。
リーダーは「改善の芽」を見逃さず、すぐに褒めて共有しましょう。
「○○さんの工具置き場、すごく見やすくなりましたね」
「昨日の清掃で、異常が早く見つかりました」
こうした具体的な言葉が、現場の意欲を支えます。
小さな成功をチームで共有することが、継続の仕掛けになります。

言葉ではなく、行動で示す

リーダー自身が率先して整理整頓や清掃に取り組む姿勢は、
何より強いメッセージになります。
「リーダーがやらない5S」は、どんな仕組みよりも早く崩れます。
逆に、リーダーが動けば、仕組みが多少不完全でも続いていきます。
現場は言葉より行動を見ています。
“一緒にやる”姿勢が、5Sを文化に変える力です。

5Sの定着とは、リーダーの熱意ではなく、リーダーの仕組みづくり力にかかっています。
続ける仕組みを設計し、小さな成功を積み重ね、行動で示す――
これが、5Sを根づかせるリーダーの役割です。

5Sが定着すると現場が変わる

5Sが定着した現場では、見た目のきれいさ以上に、人と仕組みの動き方が変わります。
活動が続くことで、日々の作業・判断・改善が自然に整理され、
“安定して成長できる現場”が生まれます。

異常の早期発見と品質の安定

整理・整頓・清掃が習慣化すると、異常がすぐに目につくようになります。
「昨日までと違う」「ここが汚れている」――その“気づき”が品質不良を未然に防ぎます。
また、点検と清掃が一体化しているため、設備の不具合も早期に発見できます。
清掃は単なる美化活動ではなく、品質と安全を守る第一歩になります。

新人教育・引継ぎがスムーズになる

5Sが定着した現場では、「どこに何があるか」が明確です。
そのため、新人教育や作業引継ぎの時間が大幅に短縮されます。
作業ルールや手順が見える化されているため、教える人も教わる人も迷いません。
5Sが進んだ職場ほど、教育コストが下がり、人材育成が早く進むのです。

改善提案が自発的に生まれる

環境が整うと、作業者の意識も変わります。
「もっと効率化できる」「ここをこうすれば安全になる」といった意見が自然と出てくるようになります。
これは、5Sによって考える力が育つからです。
改善提案が上からの指示ではなく、現場から自発的に生まれる。
この状態こそ、5Sが「活動」から「文化」に変わった証拠です。

5Sが定着した職場は、ムリ・ムダ・ムラが減るだけでなく、
人が成長し、チームが協力し、組織が自走する――そんな理想の現場に近づきます。
つまり、5Sの定着は単なる維持ではなく、組織の進化を支える基盤なのです。

まとめ:続ける5Sが文化をつくる

5S活動は、始めるよりも「続ける」方が難しいと言われます。
しかし、続ける仕組みさえ整えば、5Sは現場に自然と根づきます。

重要なのは、意識を変えることではなく、環境と仕組みを整えることです。
人の意識は変えようとしても長続きしませんが、
仕組みが整えば、誰でも同じ行動を繰り返せるようになります。
そして、繰り返すうちにそれが習慣となり、やがて文化として根づいていきます。

習慣は仕組みから生まれ、
文化は習慣の積み重ねから生まれる。

5Sを定着させる3つの仕組み――
① 習慣化の仕組み ② 見える化の仕組み ③ 評価と承認の仕組み――
これらを整えることで、5Sは一過性の活動ではなく、組織を育てる文化に変わります。

5Sは「片づけの活動」ではなく、「人と組織を成長させる仕組み」です。
清掃で整え、清潔で維持し、躾で育て、そして定着で文化に変える。

5Sの定着はゴールではなく、カイゼンのスタートです。
改善をさらに進めたい方は、
現場が成長する5S活動でムダ取り!改善効果を高めよう!
も参考にしてください。

この一連の流れが回り始めたとき、
あなたの現場は“改善が続く職場”へと進化していくでしょう。

🔄 5Sシリーズ記事一覧
5Sとは何か?スタートしやすい初心者向け解説ガイド
5Sの清掃とは?「掃除」との違いと現場での効果的な進め方を解説
5Sの清潔とは?清掃との違いと“維持する仕組み”を現場目線で解説
5S活動のコツ!躾を成長に変える仕組み(アイデア)作り

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この記事を書いた人

GFC 上村正和
GFC 上村正和 中小企業診断士・日本生産性本部認定経営コンサルタント・1級販売士

職人一筋、木工加工から精密金属加工までを経験。精密金属加工会社では工場長を務める。現在は、中小製造業を対象に現場が活きる経営のサポートを行っている。コンサルティングを中心にのべ100社の支援実績。「日本の製造業をもう一度世界一にしたい!」という想いで支援を続けている。