整理整頓は製造業の基礎力を高める最も重要な事の一つです。
しかし、整理整頓(2S)が上手くいかず、ご相談頂く事も多いのも事実です。
改めて、整理整頓についてお話していきます。

整理整頓とは

整理整頓という言葉は一般的に使われていますが、その意味を正確に理解されている方が少ないのが現状です。
整理と整頓の意味がごちゃ混ぜになっていたり、ただ単純に片付ける事を言っていたりします。

2Sとは

2Sはまさにこの整理整頓を現場での重要な活動と位置づけて、2S活動などと呼ばれています。
他にも3S・5Sと活動の範囲によって呼び方を変えています。

2Sの意味

2Sは整理整頓の活動です。その中でも、初めて取り組む場合や、5S活動が上手くいっていない場合などに「2Sから始める」といった言葉で使われる事があります。

2Sの目的

2Sの最終的な目的は、ムダをなくし、効率化する事で、工場の利益を最大化する事です。
そして、2S活動を定着化させる事で、現場の意見やモチベーションを引き出す事で、人材活性化を達成するという目的もあります。

整理(seiri)の意味やポイント

整理の意味を改めてお話します。
我々コンサルタントは言葉の意味や定義をとても大切にしています。
言葉の意味がバラバラだと意図した通り伝わらない事があるからです。
工場経営の中で2S活動を推進していくためには現場内で意味の統一を必ず行うようにしましょう。

整理とは「いらないものを捨てる事」

いらないもの

整理とは「いるもの」と「いらないものに分け
「いらないものを捨てる事」です。
非常に単純でありながら、非常に難しい事です。

整理の効果

整理には以下のような効果があります。

整理の効果
  • いらないものを捨てることで、スペースが生まれる
  • 目に入るモノが減り、探す時間などのムダが減る
  • 邪魔なモノが減り、安全性が高まる
  • 仕事がしやすい環境となり、集中力が高まるなど、効率化につながる

このように、整理には多くのメリットがあります。

整理はなぜ難しい?

いるいらない

多くのメリットがあるのに、なぜ整理は進まないのでしょうか?
整理が難しいのは「いらないもの」が人によって違うからです。
「整理しましょう!」といっても、人によって整理が進まないのはこのためです。
整理上手はいらないものを的確に決めて実行できます。
一方、整理が苦手な方はこのいらないものを決めれずに、ものを捨てられない状態になるのです。
つまり、大事なのは「いらないもの」とは何なのかを決める事です。

整理=いらないものを決め、いらないものを捨てる

産廃処理

いらないものを決めていくうえでは、「いつ使うのか?」を考えましょう。
いつか使うはほとんど使わないのです。
例えば1年以内に使うのかで考えます。これは事業年度内に使うのかという事でもあります。
事業年度ごとに棚卸をするわけなので、最大でも1年以内として考えると良いでしょう。

しかし、1年以内には使わないけど使う予定がある!という場合も当然あります。
使う予定があるので、いらないものの定義から外れます。
ルールは厳しく決めますが、柔軟に変更する事も重要です。

整理の対象は?

作業場

整理の対象は工場の中のもの全てです。
しかし、いきなり一斉に始める事が難しいのが実情です。
エリアを絞って徐々に広げていくのが、通常業務の負担になりにくい方法です。

ただし、会社によっては、みんなでやる事が重要という場合もありますよね。
これは社長の方針次第です。
何事もテクニックだけに頼らず、社長自身の想いを大切に取り組んでいきましょう。

整頓(seiton)とは

整頓とは必要なものが、適切な場所にあり、いつでも、すぐに、誰でも、使える状態である事です。
片付けるという「行為」だけではなく、利益を上げるための「状態」であると認識しましょう。

整頓とは

整頓とは、「いつでも・すぐに・誰でも」使える状態にすることです。
この状態を作るために整頓を行うので、この状態であれば、見た目が悪くても問題ありません。
見栄えだけ良くても中身がなければ意味がありませんので、現場の皆さんと一緒に悩んで作り上げていくものになります。

状態ポイント・仕組み
いつでも使った人が必ず同じ場所に戻す。
位置・品目表示・貸出簿など
すぐに探す手間なく使えるようにする。
場所・位置・品目表示・取りやすい仕切りなど
誰でも新人や担当外・お客さんでも分かる。
場所・位置・品目表示

整頓の効果

整頓をすることで以下のような効果が期待できます

整頓の効果
  • 探しているものが素早く発見することができて、探す時間のムダがなくなる
  • 正しく戻すことで紛失による無駄な購入が減り、経費の削減につながる
  • スペースを効率よく生かすことができて、効率の良いレイアウトにつながる
  • モノが見える化されることで教育もしやすくなる

このように整頓には現場を良くする直接的な効果があります。

整頓のポイントは整理の後に行うこと

整頓

2S活動における整頓は、整理を行った後でないとすることが出来ません。
整理を行わないと、「いらないもの」が混ざってしまい、いらないものを片付けるという本来の整頓の意味から外れてしまうからです。
それはまさにムダな行為です。

いらないものが沢山ある状態では、適切な場所を確保する事が難しいです。
「場所がない」という工場では「いらないもの」が多くあります。
整理を行い、スペースを生んだうえで、適切な場所を決めていきましょう。

整頓のコツ

片付け

整頓を推進するために3定管理という言葉があります。
3定管理では、定位置・低品・定量を管理することで効果的な整頓を実現させることができます。

また整頓は、日常的に続けられる仕組みを作る事がポイントになります。
人によっては片付けが苦手な場合もありますので、出来るだけルールではなく、仕組みで片付けを継続させていく必要があります。
下の記事で仕組みづくりについて紹介していますので、参考にしてください。

2S 整理・整頓を推進するために

整理・整頓を推進するためには以下のようなポイントを抑えることが有効です。

整理・整頓の推進ポイント
  • 改めて、経営者や現場の責任者がキックオフを行い、活動化する
  • 作業担当者と責任者を明確にして、担当エリアを定める
  • 日常的な変化に対応するため、チェックシートなどで実施のチェックを行う
  • 定期的に発表を行い、頑張りを周知したり、アイデアを横展開させる

キックオフなどで明確に号令をかけて、変えることの抵抗をなくすことが重要です。
責任範囲を明確に自分ごととして捉えられるようにして、現場を巻き込みながら進めることが必要です。
日常的にモノは増えたり・減ったりする変化をチェックシートなどでしっかりと捉えて、日常的に改善を続けていきましょう。
発表の場を設けて、頑張りを認めてもらうとモチベーション維持につながります。
また、せっかくのアイデアを会社に浸透させるために、横展開の工夫をしていきましょう。

整理整頓が上手くいくと物を減らしたい心理が働く

整理整頓を続けていく事で、物が増えたら減らしたいという心理が働くようになります。
ここまでくれば、2S活動はバッチリです。
現場が自らいらないものを決め、処分する「整理」を行い、より良い場所に、より良い方法で置く「整頓」を行ってくれます。

まとめ

2S活動はムダをなくし、効率化する事で工場の利益を最大化してくれます。
現場改善の基礎となるため、まず最初に2Sから始めるのが良いでしょう。
2Sを通じて人材の活性化も期待できます。
現場が自ら考え、行動するように2S活動も工夫していくと良いでしょう。


2Sを定着させる実務ポイント

整理は捨てる判断基準から始める

整理は、不要な物を一気に捨てる活動ではなく、必要・不要・保留を判断する基準づくりから始めます。使用頻度、最終使用日、代替可否、保管責任者を決めると、感覚ではなく事実で判断できます。

整頓は戻しやすさで決める

整頓では、見た目の美しさよりも、取りやすく戻しやすいことを重視します。よく使う工具や部品ほど作業点に近づけ、使用頻度の低い物は保管場所を分けることで、現場の移動や探す時間を減らせます。

2Sは作業時間と探す時間で効果を見る

  • 探し物の回数や時間が減ったか
  • 工具や部品の戻し忘れが減ったか
  • 通路や作業台に仮置きが残らなくなったか
  • 新人や応援者でも置き場が分かるか

整理整頓が戻るときは現場導線を見直す

整理整頓がすぐ元に戻る場合、置き場が遠い、表示が小さい、使用後に戻す時間が取れていないなど、現場導線に原因があることがあります。戻らない現象を責めるより、戻しにくい理由を潰すことが定着につながります。

自社だけで基準づくりや定着確認が進みにくい場合は、2S・整理整頓改善の相談はこちらで現場状況を整理できます。

整頓整理で検索する人に伝えるべき実務ポイント

言葉の順番より現場の順番を重視する

検索では整頓整理と入力されることがありますが、現場改善では整理から始めるのが基本です。不要な物を残したまま整頓しても、置き場が増え、探す時間や戻し忘れが再発します。

整理は判断、整頓は戻しやすさ

整理では必要・不要・保留を判断し、整頓では必要な物を誰でも取り出せて戻せる状態にします。両方を分けて見ることで、捨てられない問題なのか、置き場が悪い問題なのかを判断できます。

最初に確認すること

まずは作業台、工具置き場、共有棚、通路、仮置き場を確認します。使っていない物、責任者が不明な物、戻しにくい物、表示がない物を洗い出すと、2Sの改善テーマが決まります。

定着しない原因を潰す

整理整頓が戻る原因は、社員の意識だけではありません。置き場が遠い、表示が小さい、戻す時間がない、管理者が確認していないなど、仕組み側の問題を直す必要があります。

関連する記事

整理と整頓の違い

整理は必要なものと不要なものを分けること、整頓は必要なものを誰でもすぐ使える状態にすることです。置き場を増やす前に不要品を減らさないと、探す時間や在庫、異常の見落としは減りません。2Sは見た目を整える活動ではなく、仕事をしやすくする基準づくりです。

最初に確認する判断基準

対象エリアを小さく決め、使用頻度、必要数量、置き場、戻す人、異常時の判断を決めます。『いつか使う』を残し続けることが整理の失敗につながります。判断に迷う品は保留期限を付け、現場と管理者が一緒に決める仕組みにします。

整理整頓が続かない失敗パターン

一斉清掃やレイアウト変更だけで終わり、戻し方や点検が決まっていない状態です。忙しくなると元に戻るため、写真基準、定位置表示、補充点、朝礼での確認などを日常業務に組み込みます。2Sの土台ができると、3定による維持管理も機能しやすくなります。

品質と生産性につなげる方法

探す、取りに行く、置き直す、取り違える時間を記録すると、2Sの効果を説明できます。工具や材料の不足、異常、混入にも早く気づけるため、品質事故の予防にもつながります。リーダーだけが管理する状態なら、現場の役割と基準を見直す相談が必要です。

2Sを元に戻さない仕組みの作り方

整理整頓が続かない原因を、作業者の意識だけにしないことが重要です。戻す場所が遠い、置き場が分からない、忙しい時の基準がないなら、元へ戻るのは自然な結果です。

正しい状態を写真と数量で決める

工具、材料、書類は「ここにあるべき状態」を写真、定位置、定量で示します。探す時間や取り違えが多い場所から始めると、2Sの効果を現場が実感しやすくなります。

点検は短く、作業の流れに入れる

月一回の大掃除だけでは定着しません。始業時や段取り替え時に30秒で見られる項目を決め、乱れが出た理由を戻すことで、管理者がいなくても維持しやすくなります。

よくある質問

整頓整理と整理整頓は違いますか?

言葉としては似ていますが、現場改善では整理から始めるのが基本です。不要な物を減らしてから、必要な物を取り出しやすく戻しやすい状態にします。

整理と整頓の違いは何ですか?

整理は必要な物と不要な物を分けること、整頓は必要な物を使いやすく戻しやすい状態にすることです。判断と置き場づくりを分けて進めます。

2Sは何から始めればよいですか?

作業台、工具置き場、共有棚、通路など、乱れやすい場所を1つ選び、不要品、保留品、置き場不明品を確認することから始めます。

整理整頓が続かない原因は何ですか?

置き場が遠い、表示が分かりにくい、戻す時間がない、管理者が確認していないことが主な原因です。意識だけでなく仕組みを見直します。

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この記事を書いた人

GFC 上村正和
GFC 上村正和 中小企業診断士・日本生産性本部認定経営コンサルタント・1級販売士

職人一筋、木工加工から精密金属加工までを経験。精密金属加工会社では工場長を務める。現在は、中小製造業を対象に現場が活きる経営のサポートを行っている。コンサルティングを中心にのべ100社の支援実績。「日本の製造業をもう一度世界一にしたい!」という想いで支援を続けている。