生産性を上げるには、どの工程が全体の流れを止めているのかを見つける必要があります。
ただし、ボトルネック工程は数字だけを見ても分かりにくいことがあります。現場では、仕掛品がたまる場所、作業者が待っている時間、判断待ちが起きている場面にヒントがあります。
仕掛品と待ち時間を見ると、工程全体の流れが見えやすくなります。
この記事では、仕掛品と待ち時間からボトルネック工程を見つける方法と、現場の流れを見える化する進め方を整理します。
仕掛品と待ち時間を見る理由
仕掛品と待ち時間を見る理由は、現場の流れの詰まりが表れやすいからです。
工程能力表や生産実績も重要ですが、現場に行くと数字だけでは見えない停滞があります。物が積まれている場所、人が待っている場面、確認待ちの時間には、改善の手がかりがあります。
ボトルネック改善についての基本的な考え方は、既存記事のボトルネック改善でも整理しています。本記事では、その中でも「見つけ方」に絞って解説します。
まず現場の流れを見える化することで、どこから改善すべきかを判断しやすくなります。
仕掛品は流れが止まっている場所を教える
仕掛品が多い場所は、前工程が作り過ぎているか、次工程が受け取れない状態です。量だけでなく、何日滞留しているかを確認します。
待ち時間は停止理由まで分けて記録する
材料待ち、段取り待ち、設備停止、判断待ちを同じ待ちとして扱うと、打ち手がぼやけます。理由を分けて見ます。
仕掛品からボトルネックを見る
仕掛品は、工程の流れが止まっている場所を示すサインです。
前工程が作っても次工程が処理できなければ、物はその手前にたまります。仕掛品が慢性的に多い場所は、ボトルネック候補として確認する価値があります。
どこに仕掛品がたまるかを見る
まずは、現場を歩いて仕掛品がたまっている場所を確認します。
加工前、検査前、出荷前、段取り待ち、手直し待ちなど、どの状態で止まっているのかを見ることが大切です。
単に置き場が広いから物が多いのか、処理が追いつかずにたまっているのかを分けて考えます。
一時的な滞留と慢性的な滞留を分ける
仕掛品が多くても、一時的な滞留であれば大きな問題ではない場合があります。
たとえば、ロット切り替え直後や昼休み前後には一時的に物がたまることがあります。重要なのは、毎日同じ場所で同じように滞留しているかどうかです。
時間帯を変えて何度か確認すると、慢性的な詰まりが見えやすくなります。
仕掛品の理由を聞く
仕掛品がたまっている理由は、現場に聞くと分かることがあります。
「検査待ちです」「次の設備が空いていません」「判断できる人を待っています」「前工程の品質が不安定です」といった声が出てきます。
この理由を整理すると、設備能力の問題なのか、品質確認の問題なのか、人員配置の問題なのかが見えてきます。
待ち時間からボトルネックを見る
待ち時間も、ボトルネックを見つける重要な手がかりです。
作業者が待っている、設備が空いている、材料が来ない、確認者を待っている。こうした時間は、生産性を下げる要因になります。
材料待ち
材料が来ないために作業が止まる場合、前工程や供給方法に問題がある可能性があります。
材料置き場が遠い、必要な部品がそろっていない、運搬タイミングが合わないなど、現場の動きに原因があることもあります。
材料待ちは記録に残りにくいため、現場観察で確認することが重要です。
段取り待ち
段取りが終わるまで作業が始められない場合、段取り待ちが発生します。
工具、治具、材料、条件表、初品確認など、どこで待ちが発生しているかを分解します。
作業標準化や段取り準備の見直しによって、待ち時間を減らせる場合があります。
判断待ち
判断できる人を待つ時間も、現場では大きなボトルネックになります。
検査の合否判断、設備異常時の対応、仕様変更時の確認などが特定の人に集中していると、流れが止まります。
判断基準を整理し、他の人でも一次判断できる状態にすることで、待ち時間を減らせます。
現場の流れを見える化する方法
仕掛品と待ち時間を見つけたら、現場の流れとして整理します。
頭の中だけで考えると、どこが本当の詰まりなのか分かりにくくなります。簡単な図や表にして見える化することが大切です。
工程の流れを書く
まず、材料投入から出荷までの工程の流れを書きます。
加工、検査、組立、梱包などの工程を並べ、その間に仕掛品がどこにあるかを書き込みます。
細かく書きすぎる必要はありません。まずは全体の流れと詰まりの場所が分かることを優先します。
待ち時間を分類する
次に、待ち時間を分類します。
材料待ち、設備待ち、段取り待ち、検査待ち、判断待ち、手直し待ちなどに分けると、原因が見えやすくなります。
分類するときは、現場の言葉をそのまま使うと実態に近い整理になります。
時間帯ごとに確認する
仕掛品や待ち時間は、時間帯によって変わります。
朝、昼前、夕方、段取り替え前後など、複数のタイミングで確認すると、慢性的な詰まりが見えやすくなります。
一度見ただけで決めつけず、繰り返し観察することが大切です。
見える化した後の改善の進め方
ボトルネック候補が見えたら、すぐに大きな対策を打つのではなく、原因を確認します。
仕掛品や待ち時間は結果です。その背景にある原因を整理しなければ、改善は続きません。
まず一つの詰まりを選ぶ
最初は、影響が大きく、現場で改善しやすい詰まりを一つ選びます。
すべてを同時に改善しようとすると、活動が広がりすぎます。材料待ち、段取り待ち、判断待ちなど、テーマを絞ることが大切です。
小さく始めることで、効果も確認しやすくなります。
原因を現場で確認する
選んだ詰まりについて、現場で原因を確認します。
材料が遅いのか、準備が足りないのか、判断基準が曖昧なのか、人員配置が合っていないのかを見ます。
原因を整理するときは、問題の構造化の考え方が役立ちます。
小さな改善を試す
原因が見えたら、小さな改善を試します。
部品置き場を変える、準備を前倒しする、確認項目を整理する、判断基準を見える化するなど、現場で試せることから始めます。
効果があれば標準化し、なければ原因の見方を見直します。
注意点
仕掛品と待ち時間を見る方法は有効ですが、注意点もあります。
見えたものだけで判断すると、別の原因を見落とすことがあります。
置き場の多さだけで判断しない
仕掛品が多い場所が、必ずしも本当のボトルネックとは限りません。
前後工程の都合で一時的に置いている場合や、置き場のルールが曖昧なだけの場合もあります。
仕掛品の量だけでなく、なぜそこにあるのかを確認する必要があります。
作業者を責めない
待ち時間や仕掛品が見つかっても、作業者を責めることが目的ではありません。
現場の流れが止まる背景には、情報不足、準備不足、判断基準の曖昧さ、工程設計の問題などがあります。
責めるのではなく、流れを妨げている条件を一緒に整理することが大切です。
改善後も見続ける
一つの詰まりを改善すると、別の場所に詰まりが移ることがあります。
そのため、改善後も仕掛品と待ち時間を見続ける必要があります。
現場の流れは変化します。定期的に確認することで、次の改善テーマを見つけやすくなります。
まとめ
ボトルネック工程を見つけるには、仕掛品と待ち時間を見ることが有効です。
仕掛品がたまる場所、材料待ち、段取り待ち、判断待ちなどを確認すると、現場の流れの詰まりが見えてきます。
大切なのは、見つけた詰まりを作業者の問題にせず、なぜ流れが止まっているのかを現場で整理することです。
まずは一つの工程を選び、仕掛品と待ち時間を見える化することから始めましょう。
一つの滞留工程から始める
全工程を一度に調べず、仕掛と待ちが目立つ工程を一つ選んで観察します。
改善後は仕掛日数と納期を確認する
作業者が忙しく見えるかではなく、仕掛の滞留日数と納期遅れが変わったかで結果を判断します。
よくある質問
仕掛品が多い場所はボトルネック工程ですか?
ボトルネック候補ではありますが、必ずしもそうとは限りません。一時的な滞留や置き場ルールの問題もあるため、なぜ仕掛品がたまっているのかを確認する必要があります。
待ち時間はどのように確認すればよいですか?
材料待ち、段取り待ち、検査待ち、判断待ちなどに分けて確認します。記録に残りにくい時間も多いため、現場観察と作業者へのヒアリングが有効です。
見える化した後は何をすればよいですか?
影響が大きい詰まりを一つ選び、原因を現場で確認します。そのうえで、部品置き場、段取り準備、判断基準など、現場で試せる改善から始めます。


