人材不足で企業が倒産する話を耳にしたことはありませんか?
離職率が増えてしまい、巡り巡って退職に影響してしまうことも原因ではないでしょうか?
社員の定着率を上げることを可能にできるのが、人事制度です。
もう、人事制度を軽視することはできなくなっています。
しかし、名前を聞いたことがあっても、詳しい内容はよくわかっていないあなたのために徹底的に解説いたします。
もし、あなたが上記のような問題に直面しているのであれば、是非とも続きを読んでいただければと思います。
あなたの企業ですぐに取り入れることのできる、人事制度の内容と一緒に設計方法、見直しタイミングなどをお伝えいたします。
この記事でわかること
- 設計手順
- 新しい制度
- 人事制度の内容
- 離職者を防ぐ方法
- 見直しのタイミング
人事制度とは?
事業拡大には、経営資源である「ヒト・モノ・カネ・情報」が必要であり、”ヒト”に焦点を当てた制度が人事制度です。
また、人事制度で大切なことは、企業が業績アップを目指す主力戦略であることを前提にしておいていただければと思います。
具体的にお伝えすると次の2制度があります。
- 雇用制度
- 等級制度
雇用制度は正社員、正規社員(管理職・非管理職)、非正規社員(出向社員・派遣社員・請負従業員)、契約社員、パートタイマー、アルバイトなどの区分を決める制度です。
人事制度の目的・役割
カネ・モノで最新鋭の設備を導入しても、能力の高い人材がいないと宝のもち腐れとなってしまい、事業拡大することは難しいでしょう。
また、優秀な人材が、あなたの会社に在籍していたとしても、職場の環境が悪く、評価のされない企業だと、離職に繋がってしまうことも考慮しなくてはいけません。
社員のモチベーションの維持向上を実現し、経営戦略に落とし込むことが、企業成長の結果となります。
育ててモチベーションを向上させる制度が人事制度の目的と役割になります。
- 人材教育
- 業績アップ
- 職場の士気向上
人事制度の構成要素と種類
- 等級制度
- 人事制度
- 報酬制度
上記の3本柱がメインです。
等級制度の種類
等級制度は、担当職務、能力で格付けをする制度です。
後述する、評価と報酬の元となる等級制度であって、能力、役職などから「1等級・2等級・3等級」のようにランクをつける仕組みです。
また、一番初めに決める制度で、100名以下で6、7等級、1000名を越すと8〜10等級が一般的と言われています
等級制度には、主に以下の制度があげられます。
職務内容ができていれば、年功序列に関係なく報酬をもらえる制度です。また、知識、経験、能力、職務をポイントで評価し、従業員の等級を区分します。
管理職などと関係なく、役割に応じて等級を決定する制度です
部長、課長、係長の役職とは別に、職能資格があれば、報酬を獲得できる制度です。また、職務資格制度は、「職務追考能力」を基準に「職能資格制度」で等級区分されます。
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人事評価制度の種類
人事評価制度は、仕事を取り組む姿勢、成果を評価する制度です。
報酬(ボーナス)、等級の昇格・降格を決定するのに必要になってきます。
あなたの企業への貢献度を評価する制度で、成果や姿勢を総合的に見ながら、従業員の昇給や昇進を決めます。
あなたの会社の社員のモチベーションを大きく左右するため、慎重に設計する必要があります。
では、どのような評価があるのでしょうか?
評価制度のパターン
代表的な評価パターンとしては次の項目があげられます。
- 年功評価
- 能力評価
- 職務評価
- 役割評価
年功評価は年功序列がベースとなりますので、従業員から不満が出やすい評価であり、主に能力評価を採用する企業が多いです。
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報酬制度
報酬制度は、上記の等級、評価を基準に、給与や賞与(ボーナス)を決める制度です。
年功序列ではなく、成果主義なので、あなたの従業員のモチベーションは間違いなく上がります。
次の項目で構成されています。
- 賞与
- 退職金
- 月例給与
繰り返しになりますが、等級制度、評価制度が決定したら、給与、賞与(ボーナス)へ反映させて報酬制度を設計します。
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その他の制度
人材管理制度、教育制度、労務管理、福利厚生も人事制度です。
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制度設計・構築方法
人事制度の構築には、経営陣の考えを全社員と共有し合えていることが重要です。
企業目標や方向性、社会貢献の見直しと同時に、経営陣、全社員が納得しあえる内容だとベストです。
結果、社員の定着率が上がるだけでなく、あなたの企業の生産効率も上がり、正のスパイラルが生まれはじめます。
設計スケジュール
問題点をあぶり出し、方向性を決める
主に、定量分析、定性分析の両面から行います。
人事制度の幹(みき)となる部分です。
- 等級制度
- 評価制度
- 報酬制度
本番導入する前に必ず社員の賃金、人件費の総額等のシミュレーションを実施してください。
あなたの従業員へ新しい人事制度の趣旨の理解を求めます。
評価をする者の研修も必須になってると同時に、主に、論理的思考、分析力、コミュニケーション能力のスキルが必要になってきます。
運用中に改善点が出てきたら、適宜対応し、人事制度に適応していきましょう。
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制度設計の基本戦略
基本戦略の最重要ポイントとしては、人材マネジメントをどのような戦略で行っていくのかを考えることです。
「人事制度は企業の経営方針を具体的な戦略として展開したもの」と言っても過言ではありません。
例えば、労働環境が悪い職場であれば、離職率を高めてしまう恐れがあります。
労働環境を改善することを基本戦略にすることで、全社員が活躍でき、めぐりめぐって、あなたの企業へ自然と貢献しはじめます。
等級・評価・報酬制度の矛盾をなくす
3つの制度の矛盾が発生してしまうと、うまく機能しなくなってしまいますので、注意していただきたい。
3つの制度の一貫性を常に考えながら、設計、構築していただければと思います。
リーガルチェック(法的チェック)
人事制度を運用すためには「法律に準拠」しているのかが重要になってきます。
せっかく人事制度を作ったにも関わらず、法律のチェックをしないと機能しないので、必ずリーガルチェック(法的チェック)は行っていただければと思います。
人事制度を見直すタイミング3選
大前提として、集中できるように閑散期に見直しましょう!
では、見直すタイミング3選をお伝えしていきます。
事業を成長させたいタイミング
あなたの事業をもっと成長させたい時に、人事制度の改革導入を検討します。
ポイントとして、あなたの企業の成長には本当に人事制度の見直しが必要なのか?
それとも人事制度とは他のところにあるのかを、考え抜く必要があります。
従業員が増えたタイミング
従業員が増えれば増えるほど、評価や教育が難しくなってきます。
従業員の人数規模(会社の規模)によっては、人事制度を見直す良いタイミングになることもあります。
社会背景の変化のタイミング
2019年の働き方改革によって、様々な取り組みが推進される中で、人事制度を見直す企業もあるように、時代背景、社会背景の変化にともない、人事制度の見直しが必要となってくることもあります。
社会背景の変化によって、離職者が増える場合もあり得ます。
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人事制度のポイント・注意点
企業目標や方向性、社会貢献の見直しと同時に、経営陣、全社員が納得しあえる内容であればベストだとお伝えしました。
注意点として、経営理念等を末端の社員まで浸透させる必要があります。
経営理念には、社員にどれだけ還元できるか、目標、社会貢献などがあると良いでしょう。
末端の社員まで上手く浸透させるためには、社員の考えを意識したシンプルな内容だと共有しやすいです。
また、給与の見直しに関して、安易に見直してしまうと、離職につながるケースがあります。
社員は、マネープランを考慮して住宅ローンを組んだり、子供の教育費などを考えていますので注意が必要です。
自社に合う人事制度を選択する
社会背景の変化によって人事制度の見直しは必要ですが、自社に合わない場合は取り入れるのを見送りましょう。
失敗してしまうと従業員へ悪影響が及び、従業員の家族まで影響してしまうリスクがあります。
リスクを抑えたい場合は、「温故知新」良いものは残したまま、新しいものを取り入れると良いです。
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人事制度と従業員の納得
人事制度への不満がで始めると、生産効率が下がる可能性があります。
結果、離職者が後をたたなくなってしまい収集がつかなくなってしまう、最悪なケースも想定できてしまいます。
注意点をいくつかあげ、新しい制度を取り入れることも重要ですが、自社に合ったものかどうかを精査することを忘れないようにしていただければと思います。
取り入れたはいいが、自社に合わなかったとなってしまっては後の祭りです…。
人事制度における現代の問題点
人事制度は時に、時代と共に変わる必要があります。
- フレックス
- テレワーク
- ダブルワーク(副業)
現代は、上記のような働き方があります。
また、個々のスキルの乖離も目立ちはじめます。
2000年代は、ITの普及により、業務が合理化された結果、成果主義型に拍車がかかりました。
1990年代に欧米から日本へ入り、成果の上がった社員に給料を多く支給する欧米式の成果主義成果主義型の人事制度にもデメリットがあります。
- 失敗するリスクを考えてしまい前に進めない
- 能力の低い個人は認められず、チームワークの低下
- 個人のスキルが上がったため、チームワークが低下
- 毎評価に時間がかかり、企業の成長スピードが落ちる
問題1.時代背景と共に制度がミスマッチ
戦後の高度経済成長期に人材不足に悩んでいた企業が、年功序列の雇用を取り入れた結果、次のような結果が出ました。
- 正規雇用の増加
- 組合と企業の間で労使交渉ができる
- 定年までの収入と仕事の補償(終身雇用)
その後、時代が進むにつれて、終身雇用制度が問題視され始め、転職が当たり前の時代になりました。
さらに時代は進みITの進化による業務の効率化、政府が推し進める働き方改革と、時代背景によって古い人事制度とのミスマッチが生じはじめます。
IT企業で有名なZOZOTOWNこと、株式会社ZOZO(旧:株式会社スタートトゥデイ)、株式会社メルカリでは時代にあった人事制度を採用しています。
株式会社ZOZO(旧:株式会社スタートトゥデイ)では、社内の絆を尊重しているため、競争をなくすため、一律で社員の給与は同じです。
人事評価制度の面で、点数付けがないのが有名です。
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新しい人事制度を取り入れた企業例
メルカリでは、離職率を抑えるために、結婚出産や親の介護が両立しやすい体制を整えています。
育休、介護と社員だけではなく、社員の家族までマルっと支える福利厚生が充実している制度が注目を集めています。
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メルカリの人事制度例
問題2.企業成長と比例した制度のミスマッチ
10人程度と社員数が少なく、経営陣と社員のコミュニケーションが頻繁に行われ、社員の不満や悩みをすぐにヒアリングでき、すぐに反映できる状態であった企業があるとします。
しかし、あなたの会社が急成長し、100人規模の社員がいた場合は、少人数で経営していた時のように、上手くいかず離職者が増えてしまうのではないでしょうか?
企業の成長と共に人事制度を見直す必要が出てきます。
サイボウズ株式会社が「選択型人事制度」を採用し、離職率を28%→4%まで実現しました事例があります。
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問題3.評価者の問題
評価する側のスキルも問題になってきます。
スキルがともなっていないのにも関わらず、従業員を評価してしまうと、不満が爆発し、モチベーションが下がり、やがて離職へとつながり、あなたの会社の業績に、大きな影響を及ぼす恐れがあります。
評価者のスキルを上げるために、定期的に研修を行う必要があります。
評価者の問題を解決して、従業員全員に平等で納得のいく人事制度であれば、離職を回避できる確率は上がります。
新しい人事制度
繰り返しになりますが、社員の定着率とモチベーションを上げていくには、年功序列では限界があります。
優秀な社員があなたの企業に貢献し続けても、給料が上がるのは、年功序列で勤続年数が多い社員であっては、優秀な社員はあなたの会社を退職してしまいます。
能力がなく、勤続年数が長いだけの人材に給与を払い続けていては、無駄な経費ばかりかかってしまいます。
おそらく、あなたの企業の成長は厳しいでしょう…。
年功序列ではなく、能力の高い社員の給与を増やす制度も視野に入れていかなくてはならないケースもあります。
働きやすい労働環境
労働環境と深く関わりのある、社会問題として次の内容があげあれます。
- 介護問題
- 子育て問題
- 残業問題(過労死)
製造業界では非現実的なお話になってしまいますが、例として上記の内容でサクッと考えると、フレックスタイム、テレワークの導入を検討すると、働きやすい労働環境が生まれ、離職者が減るのではないでしょうか?
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ノーレイティング(No Rating)
1等級2等級3等級のような、従業員のランク付けをしない人事評価制度です。
ゼネラル・エレクトリック(General Electric Company)や日本マイクロソフト株式会社が採用しています。
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360度評価
GMOインターネット株式会社が360度評価を実施しています。
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バリュー評価(行動評価)
成果で評価する人事制度とは違い、あなたの企業のバリュー(価値観)を把握し、動けているのかを評価する制度です。
有名企業では、株式会社メルカリが取り入れています。
まとめ
人事制度とは、事業拡大のために経営資源である「ヒト・モノ・カネ・情報」が必要で、”ヒト”に焦点を当てた制度です。
等級制度、評価制度、報酬制度の3本の柱で構成されており、時代、社会背景を考慮しながら導入していきます。
見直しのタイミングは、閑散期の時期に、あなたの会社が成長し、従業員が増えたり、もっと企業を成長させたい時などに検討します。
その際は、評価者の研修と従業員全員に落とし込める、納得のいく制度を導入しなくては
いけません。
流行っている新しい制度を導入する場合は、あなたの会社に合うかどうかを時間をかけて考えていただければと思います。
もし、社長1人で悩まれている場合は、気軽に相談していただければと思います。
もしくは、本記事の内容を共有していただくために、社員との会議を定期的に開催していただければと思います。
会議を名目に社員との接触頻度を増やし、コミュニケーションを取ることで、社内の雰囲気がよくなり、人事制度を見直さなくても退職者が出ずに、業績が良くなる可能性もあるかもしれませんね!
それでは、最後まで読んでいただきありがとうございました。