赤札作戦は5Sにおける整理の「要るものと要らないものを分ける」という事に特化した方法です。
赤札を張っていく事で要らないものを見える化する事が出来ます。
5Sの初めの第一歩は整理から始まり、整理とは要るものと要らないものを分け、要らないものを排除する事です。
赤札作戦は本来、簡単に誰でも出来る方法ですが、赤札を用意する事が大変という意見を多く頂きます。
この記事では、シンプルな赤札を活用した赤札作戦についてお話ししていきます。

5Sにおける赤札は整理対象の見える化

5S 赤札とは、もう使わないモノや機械、不良品などに付けるためのものです。
不要品は赤札を付ける事で見える化されます。
赤札を付けるという簡単な方法で、誰でも不要品を確認する事が出来る事が利点です。
多くの従業員は整理すべきものを分かっていますが、自分で判断する事が難しく、なあなあでそのままにしています。
また、もったいないといった感情も出やすいのも特徴です。
このような状態で赤札なしで整理をしようとすると、要らないものが残ってしまうのです。
赤札を張る事=捨てるにはならないので、判断の難しいものにも気兼ねなく赤札を張る事が出来ます。

赤札作戦はなぜ実践されない?

赤札不思議

こんなにもシンプルで利点の多い赤札作戦、なぜ実践されないのでしょうか?

赤札作戦が実践されない理由
  • 赤札の必要性を感じない(張らなくても整理出来ると思っている。)
  • 赤札の作り方が分からない(作るのが面倒)
  • 赤札作戦のやり方が分からない

上記のような理由が考えられます。
一つ一つ解説していきます。

赤札作戦の必要性を感じない

私が支援を通じて感じたのは、赤札の必要性を感じていなかった人が多いという事です。
前述した通り、いざ整理をしようと思っても、「自分では判断が出来ない」「もったいない」といった感情が整理を阻害します。
しかし、赤札作戦の効果や目的が分からないと、必要性を感じないのも当然なきがします。

赤札の作り方が分からない(作るのが面倒)

多い理由のもう一つが、この赤札の作り方が分からないといったご意見です。
赤札作戦が効果的である事が分っていても、赤札の作り方が分からない。
赤札作りの手間を考えると、わざわざやろうと思わない。
私は町工場の現場で働いた時も、赤札作りの手間がネックであると考えていました。

赤札作戦のやり方が分からない

赤札作戦のやり方が分からないという方の多くは赤札を作る事が面倒と考えている方で、赤札について調べてみたが、大変そうというイメージを持ってしまっています。

5Sそのものの大きな目的は働きやすい職場を作り、生産性を向上させる事です。
5S活動そのものが大変で、生産性を落としてしまっては、本末転倒です。

自社に合った、簡単で負担の少ない赤札作戦を採用する事も重要だと考えます。

GF式シンプル赤札作戦は準備が簡単

G.F.Consultingでは、規模の小さめの工場の支援を多く行っています。
規模が小さく、従業員が少ない工場では、「いかに行動に移すか」「少しでも前進」が重要です。
そこで簡単に出来る記載事項の少ないGF式のシンプル赤札作戦をご紹介します。

GF式シンプル赤札作戦のポイント
  • 使うのは付箋とマスキングテープ
  • 必要な項目は名前と日付のみ
  • 赤札作戦の担当場所を決める
  • 赤札作戦実施日を決める
  • 赤札作戦の処分(判断)する日を決める

使うのは付箋とマスキングテープ

マスキングテープ
ポストイット

GF式シンプル赤札作戦で使うものは付箋とマスキングテープのみです。
赤と黄色の2種類を用意頂くと良いでしょう。
マスキングテープを用意する理由としては、付箋ではがれやすい箇所に使用するためです。

必要な項目は名前と日付のみ

日付

GF式シンプル赤札作戦で必要な項目は名前と日付のみです。
日付スタンプや印鑑を用意頂くと記入時間すら減らす事が出来ます。
比較的小さい規模の会社では記載事項を減らしてとにかく実践する事が重要だと考えます。

シンプル赤札作戦で絶対に確認したい項目
  • 誰が貼ったのか?
  • いつの時点の判断なのか?

赤札作戦の担当場所を決める

工場棚

担当場所は主に2つ、自分の担当外の場所、共有品置場となります。
自分の担当場所に関してはついつい甘く採点しがちですので、あらかじめシャッフルした担当場所を決めると良いでしょう。
ただし、あまりにも社内全体で担当外に赤札を貼る事に抵抗がある場合は、自分の担当としても良いでしょう。
その代わり、5S委員がチェックに入り、赤札を追加するようにしてください。

赤札作戦実施日を決める

赤札作戦の実施日を決めましょう。皆で一斉に貼っていく事が理想です。
一斉に貼っていく事で、周りの動きにつられて少しずつ張るペースが上がります。
皆で楽しみながら赤札作戦を実施できるように雰囲気作りも重要です。

赤札作戦の処分(判断)する日を決める

赤札作戦の処分日を決めましょう。おススメは1か月後に設定する事です。
1か月後にする事で、素早く実施できます。
しかし、不要品がまだ残っているという状況が生まれやすいので、2回、3回と追加実施すると良いでしょう。
その場合は、1回目の処分時に保留としたものに日付を追加しておきます。

赤札が貼られたものはこの日に処分、もしくは保留判断をしていきます。
全ての赤札=処分とすると、赤札を貼る事に慎重になってしまうので、自社の風土、雰囲気に合わせて柔軟に判断していく事も重要です。
赤札が上手く張られない場合は、赤札作戦の判断日としても良いでしょう。

GF式シンプル赤札作戦は進め方も簡単

①従業員全員分の付箋とマスキングテープを配る

従業員全員に付箋とマスキングテープを配ります。
出来れば印鑑を用意して付箋にドンドンと名前を押していきます。
先に名前を押印した方が圧倒的に効率が良いです。
マスキングテープに関しては、事前に押印しにくいので、そのままとします。

②名前付きの付箋を貼っていく

1か月以内に使用しないものにドンドンと付箋を貼っていきます。
自分で判断できる不要品に関しては、そのまま不要品置場へと移動しておきましょう。
あくまで、自分で判断しにくいものに貼っていくのがポイントです。
こうする事で、赤札を張る対象を減らす事が出来ます。

③実施日以降も付箋を貼っていく

実施日に全ての不要品に貼れれば良いですが、なかなかそうもいきません。
ふと気づいた時に追加で貼っていくと良いでしょう。
また日常的に整理を意識する事で、改善意欲もわいてきます。

④使ったら黄色札を追加(日付を残す)

赤札付箋

赤札が貼られていたものを実際に使用したら、黄色札を重ねて貼り付けます。。
黄色札には名前と、さらに日付を追加しましょう。

(写真のものは手持ちの付箋を使用して実践。付箋の色は社内で統一出来れば他の色でも問題なし)

こうする事で、不要だと思っていたものが、使われたという事実が残ります。
ただし、「使用したが今後はほぼ使わない」「新しいものに変えた方が良い」といった可能性がありますので、赤札を剥がさずに次の処分日に対処を決定していきましょう。

⑤処分日に処分を判断

処分日になったら、赤札が貼られたものを一か所に集めます。
集めたものを一つ一つ処分か保留か判断していきましょう。
一か所に集める事で、処分の判断がしやすくなります。
また元の場所に戻すのが面倒に感じますからね。
ですので、集めずに判断してしまうと、判断を保留にしがちです。

⑥保留にしたものには保留判断日を記入しておく

保留する事を決めたら、その判断日を記入しておきましょう。
こうする事で、いつまでも保留されたままという事を防ぎます。
保留用の置場も用意出来ると、保留されたものが溜まりすぎる事を抑制できるでしょう。

まとめ

赤札は要らないものを見える化するのに適しています。
GF式赤札作戦では赤札は付箋とマスキングテープ、記載事項は名前と日付のみにする事ですぐに始める事が出来ます。
とにかく一歩でも前に進む事で、必ず良い効果が出てきます。
非常に簡単な方法で最初の一歩を踏み出す事が出来るGF式シンプル赤札作戦を是非皆さん試してみてください。

赤札を使った整理で不要なもののを処分できると、スペースを確保する事が出来ます。
このスペースを活用し、置場を見直ししながら整頓を進めて行きましょう!

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この記事を書いた人

GFC 上村正和
GFC 上村正和 中小企業診断士・日本生産性本部認定経営コンサルタント・1級販売士

職人一筋、木工加工から精密金属加工までを経験。精密金属加工会社では工場長を務める。現在は、中小製造業を対象に現場が活きる経営のサポートを行っている。コンサルティングを中心にのべ100社の支援実績。「日本の製造業をもう一度世界一にしたい!」という想いで支援を続けている。